富野由悠季「今までの『ガンダム』を否定する『ガンダム』があってもいい。そんな作品をもう一つやらせてもらえたら、と思っています」
ガンダム以後のアニメ
オタクアニメの市場成長
語り継ぐテレビ60年
巨大ロボット同士が戦う近未来の戦争に巻き込まれた若者たちを描いた代表作「機動戦士ガンダム」は、セリフは難解で人間関係が複雑、などの理由で、従来のアニメ視聴の中心だった小学生ではなく、小学生以上に支持された。
このため「大人向けアニメ」とも評されるが、「まったく逆。まず子供ありきだった」と語る。重要なのは作品に込めるメッセージ。「大人が子供に対して『これだけは覚えておきなさい』ということを本気で伝えないといけない」と思っているのだ。
そのため「子供向けだからと言って、かみ砕くことはしなくていい」がポリシー。とはいえ、子供たちに「戦争の悲惨さ」を突きつけた「ガンダム」の内容は、地球侵略を図る悪者とヒーローが戦う過去のロボットアニメとはかけ離れていた。初回放送では視聴率が振るわず、52話予定が43話で打ち切られた。
「敗北感はあったが、『命拾いをしたかも』とも思った。物語作りは、どれだけ話を圧縮して厚みを持たせられるかということ。結果的にだらしのない作品にならずに済んだ」
再放送以降、「オタク人気」が沸騰した。「私としては、アニメという非現実的世界に溺れないで、物語のメッセージについて考えてほしいんですが」。次々と続編を生み、多数の類似作品も登場した「ガンダム」をひとつの起点として、「オタク」向きのアニメの市場は成長した。
元々は映画監督志望だったが、手塚治虫の「虫プロダクション」に入社してアニメ業界へ。最初に携わったのが「鉄腕アトム」だった。フリー転身後、名作ものやギャグなど様々な作品にも関わり、「ドラマ作りを覚えた」。
「オタク人気」の先駆け、「宇宙戦艦ヤマト」にも関わった。「戦艦をキャラクター化し、幅広いファンを獲得した。『ガンダム』で『ヤマト』を否定したかった部分もある。だが、メカのキャラクター化が人気を呼んだ点は同じ」と分析する。
来年で「ガンダム」誕生から35年。「オタク」の系譜を継いだ「新世紀エヴァンゲリオン」には「新しい切り口を発見した」との印象を持つが、「アニメ好きが集まって作っているという、同質性を感じるものばかり」と“その他大勢”のは手厳しい。
「今までの『ガンダム』を否定する『ガンダム』があってもいい。そんな作品をもう一つやらせてもらえたら、と思っています」
※一部要約しており、全文ではありません。元記事をお読みになりたい方は、「2013年6月13日発売の夕刊読売新聞 第49337号」をお求めください。
「今までの『ガンダム』を否定する『ガンダム』があってもいい。そんな作品をもう一つやらせてもらえたら、と思っています」
∀ガンダムという全肯定する「ガンダム」をつくった富野監督だからこその発言ですね。
こちらの発言はGレコ(仮)と関係があるのでしょうか。
ジ・オリンジン、ガンダムBFが始まる中、新たな「ガンダム」が、「ガンダム」を作った人間によって生み出されるかもしれません。
Gレコ(仮)について富野愛好病さんの予想
TOMINOSUKI / 富野愛好病 富野由悠季のGレコはガンダムシリーズの第二の試金石になるのか
富野監督の「Gレコ」は「ガンダムじゃないガンダム的なアニメ」もしくは「ガンダム的だがガンダムじゃないアニメ」というような作品だそうです。そのコンセプトをいま我々が知る術はないですが、とりあえず「Gレコ」が『∀ガンダム』みたいに「過去のガンダムを受け入れつつ、さらに新しい道を切り開く」ような作品だということを感じることができます。
・虫プロについては、この前の2013年05月31日に同窓会がありました。
虫プロ同窓会に関係者250人-鉄腕アトム放送50周年記念で - 練馬経済新聞
…同イベントに参加したのは、富野由悠季さん、杉井ギサブローさん、主題歌を作曲した高井達雄さん、アトムの声を務めた清水マリさんら数多くの作品に関わり日本のアニメ産業の礎を築いたスタッフ、関係者など約250人。
2013年6月23日追記
全文が掲載されました。
【「ガンダム」以後】オタクアニメの市場成長 : 語り継ぐ : テレビ60年 : テレビ&ラジオ : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)