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黒田洋介氏、ガンダムビルドファイターズ“ラルさん”の登場秘話を語る

2013年10月11日に発売したガンダムホビーライフ002にて黒田洋介氏が、ガンダムBFのラルさんを語ったお話です。



電撃ホビーウェブ -DENGEKI HOBBYWEB- ガンダムホビーライフ002

 
ガンダムビルドファイターズ情報局 第2回
text:黒田洋介

 さて、今回のコラムの内容ですが、各エピソード解説は別の機会に設けるとして……観て下さった方が、第1話の後半でいきなり登場して驚いたであろう、「ラルさん」について書いていこうと思います。
 公式資料にも書かれていると思いますが、ラルさんは主人公であるイオリ・セイの実家の模型店の常連で、MSグフをこよなく愛するという設定以外、フルネーム不明、家族構成不明、職業不明、その他諸々不明なキャラクターです(あ、年齢は35歳です)。なのに、登場人物の多く(特に年配のキャラクター)は、ラルさんを「大尉」と呼び、まるで尊敬する上官と接したときのように、敬服と平服したりします。
 なぜ、そうなるのか?
ぶっちゃけ、わかりません!(笑)
 そんなラルさんを、なぜビルドファイターズに登場させようと思ったのか?
 それには理由があります。
 本作品の企画会議のときに、スポンサー様から以下のような提案がありました。
「ビルドファイターズは、ガンダムを知らない子供たちにガンダムのおもしろさや、ガンプラの存在、ガンプラを作る楽しさを提供したいと考えて企画しています。ですが、30年以上前から、機動戦士ガンダムという作品を応援していただいている方々にも、本作を観て、喜んでもらえる内容にしたい」と。
 それを聞いたとき、正直「無茶、言いはりますなぁ」と、思ったものです。
 ですが、その意見が「ごもっとも」なのも事実。二代目コンテンツとなったガンダムは、親子で楽しめる内容にしなければならない―そんなオーダーを受け取って自宅に戻り、あれこれ考えてみたのですが……。
① マニアックなMSをたくさん入れる。
→これは前提条件でしょう。
② ガンダム作品へのオマージュ的なシーンを多く入れる。
→その程度で観ていただけるとは思えない。
③ 美少女やイケメンをたくさん出す。
→なにか違うような気がする。
④ 思い切って題材をガンプラでなくす。
→本末転倒も甚だしい。
 そんな中、私の中にふと浮かんだのが、「ランバ・ラル」大尉の勇壮なお姿でした。
 そして、思い立ったのです。
「ランバ・ラルを本編に登場させてはどうだろうか?」
 ビルドファイターズは少年たちの成長物語ですので、少年たちを導く存在―父親なり先生なり、監督なりが必要だと思ってましたし、実在のプロモデラーさんを登場させるというアイデアも考えてはいました。
 その導き手を、ランバ・ラルに委ねてはどうか?
 彼が、ガンダムについて、ガンプラについて語る、そう考えた時―。
 すごく説得力があると思ったのです。
 それに、ランバ・ラルがいきなり登場したら、すごくびっくりしてもらえるのではないかとも思いました。
 では、なぜランバ・ラルなのか?それならアムロ・レイでも、ブライトでもシャアでもいいではないか、と思われるかもしれません。
 いいえ、ここはランバ・ラルでしょう。
 己の中にある人間としての信念、兵士、軍人としての矜持、部下を思いやり、上官の無理な命令も口答え一つなく引き受け、作戦遂行のために全力を尽くす。セイやレイジたちを導く存在して、これ以上ないキャラクターだと思ったのです(次点にドズル・ザビというチョイスもありましたが、顔が怖すぎるのでやめておきました)。
 ランバ・ラルを知らない人が本編を見た時は「物知りおじさん」だと理解してもらえばいいし、知っている人からすれば、彼の言動一つ一つを「懐かしくも楽しんで」観ていただければいいと思ったのです。
 勢い勇んで、ラルさんというキャラクターを書き込むことにした私ですが、そのためには、2つの絶対条件が存在します。
 ①デザインが同じであること。
 ②声優さんが同じ方であること。
 この企画書を提出した時、スタッフに「なにを考えてるんですか、キミは?バカですか?怒られますよ。死にたいんですか?死にたいなら、自分で勝手に死になさいよ」……ぐらいに言われるかと覚悟しましたが。
 結果、みなさんノリノリでした(笑)。
 そしてあろうことか、デザインもランバ・ラルそっくりに描いていいことになって、声も、あの広瀬正志氏(!)に出演していただけることが決定したのです。
 こうやって改めてラルさん誕生の過程を書いていると、自分がいかに無謀なことをしていたかと、怖くなりました。
 見てください、手の震えが止まりません。
 ですが、その怖さを払拭するぐらい、脚本を書いていて楽しい!とにかく楽しい!
 スタッフとシナリオの打ち合わせがある度に、長崎監督が私に言います。「いやぁ、ラルさんはすごい。ラルさんがいてくれて、よかった」と。私も心からそう思います。
 ラルさんの存在が余りにもスタッフ受けがいいので、2匹目のドジョウとばかりに「今度は女性キャラを」とか考えましたが、ありませんので!本当にありませんので、どうぞご安心ください(私にも分別はあります)。
 もし、あなたのご友人に「ビルドファイターズは子供向けだから」と言って敬遠している方がいれば、どうか、その方の耳元で囁いてください。
 「ランバ・ラル出とるで」と(笑)。


※全文ではありません。元記事をお読みになりたい方は、「ガンダムホビーライフ002」をお求めください。



インタビューと紙面でラルさんは35歳との設定がありましたが公式サイトにその一文はありません。紹介の文章も異なるところがりあります。途中で設定が変わったのでしょうか。

ホビーライフ002

「セイの実家である模型店の常連。MSグフをこよなく愛し、35歳であること以外はフルネーム不明、出身地不明、家族構成不明、職業不明、その他諸々一切の不明の謎の人物。なぜか多くのファイターやビルダー達から「大尉」と呼ばれ親しまれている。」



ラルさん | キャラクター | ガンダムビルドファイターズ

セイの実家である模型店の常連。MSグフをこよなく愛する以外、フルネーム不明、出身地不明、家族構成不明、職業不明、その他諸々不明。なぜか多くの登場人物から「大尉」と呼ばれている。





ドズルでもありですがやはり顔が怖いですね(笑)
6話の時点では他にもモブキャラとして、Zのジェリド、カクリコン00のコーラサワーが出てきています。
イオリ・リン子についての真相も聞いてみたいです。
イオリ家とガンダム00イオリアと富野由悠季監督

雑誌の発売から1ヶ月も経ってしまいました(汗)出すタイミングもなくずるずると遅くなり、やっと記事にしました。ガンダムホビーライフはまだNo.2で発売の間隔も長く、次は3ヶ月後の2014年1月になるでしょう。次のBF情報局ではどんなことを語ってくれるのでしょうか。




だいけい 協力:みやとも



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