ハリウッドとの会見、富野由悠季監督の発言をマイナビニュースが全文掲載
■富野由悠季監督、2014年1月21日に記者会見を実施!!
■富野由悠季監督、ハリウッドと共同製作で自身のリメイクである新作アニメを発表
■富野由悠季監督がハリウッドと共同製作する新作アニメ、各サイトでの監督発言まとめ
そしてなんと、マイナビニュースが全文書き起こしの記事を掲載してくれました。
富野由悠季監督、ハリウッド「Legacy Effects」提携会見 - 全文書き起こし (1) 「第一作目は、全くの新作でやるというリスクを侵すわけにはいかない」 | マイナビニュース
『機動戦士ガンダム』の原作者で知られる富野由悠季監督が21日、都内で行われた「オオカゼノオコルサマ」と米ハリウッドの制作会社「Legacy Effects(レガシー・エフェクツ)」の業務提携による制作発表会見に出席した。
すでに報じられているとおり、この業務提携の第一作は、富野監督の新作となる。
また、今日発売の読売新聞では
日本のアニメ原作ハリウッド映画に
「ガンダム」の富野由悠季監督リメーク
との見出しで、
2016年の米国での公開を目指すという。
と書かれています。
前回も書いた通り、(富野由悠季監督がハリウッドと共同製作する新作アニメ、各サイトでの監督発言まとめ)
富野監督の全発言を読んで、私はこの提携作品は「ガンダム」ではないと再び思いました。
以下マイナビニュースの全文
富野監督:ご覧のとおりの状況を去年の11月初め(「Legacy Effects」社を訪問前)まで僕はまったく知りませんでした。どういうことかと言いますと、「Legacy Effects」のスタッフが、富野のこと、『ガンダム』のこと、もちろん他の僕の制作したアニメへのリスペクトが大変深かったということを知らなかった、ということです。それがすべての始まりかもしれません。実は今日、皆さんにお出でいただきましたが、「オオカゼノオコルサマ」という会社がひとつだけウソをつきました。第一作のタイトルを発表できるところまで持ち込みたかったのですが「Legacy Effects」のスタッフが、こういう形で日本に来るということが、今年は今日しかありませんでした。そのために、タイトルを最終的にFIXするところまでに至らなかった、ということでは本当に申し訳なく思っています。そういう意味でウソをついたということです。
しかし、僕自身の今日までのキャリアで言えば基本的に"TVアニメ発"で作品を発表してきましたし、第一作目について言えば、全くの新作でやるというリスクを侵すわけにはいきません。そのため、過去作品からリメイクする可能性を考え、今日までの一カ月半「オオカゼ」のスタッフにはがんばってもらいましたが、ご存知のとおりです。権利関係の問題をクリアするところまではまだ至っておりませんので、今日ここで僕の口からお話することはできません。
ここまでお話すればどういうものが今後、この業務提携の中で制作されるのか、ということは想像がつくのではないかと思っています。と同時に、今回の提携で一番重要なことは、僕の過去作品の何かを描くということが眼目ではありません。重要なことは先ほど木場(カオリ)社長(「オオカゼノオコルサマ」代表)からも説明があったとおりです。これから「Legacy Effects」と、それから「オオカゼ」をベースにして、世界配給できるようにアニメ発やコミック発のコンテンツをもった日本の映像を、広く世界に提供していきたい。そういう制作基盤を東京とハリウッドに作っていきたいと思っています。
その第一番目としては、僕がとても便利だったらしいので、今こういう形で席に立たされたということもあります(笑)。そして、富野だったら一発目はできるだろうと「Legacy Effects」のスタッフも思ってくれたということです。このことは、おそらく日本のアニメファンは今日まで誰も信じていなかった。まして関係者は、こういうことがあるなんてことを信じていなかったということです。ですから、僕はこの歳になりましたけども、こういう若い世代の人に騙されたと思って、今ここに立っています。
実際に映画企画は進むのではないかと思っていますし、これから数年先の東京でのアニメ制作状況は大変厳しいということは、関係各位や皆さま方はご存じかと思います。ですから、新しい制作現場というものを手に入れていきたい。そして、僕自身もです。旧作のものだけではなく、僕にとって「Legacy Effects」は、新型の戦闘機に乗るような気分です。つまり、元ゼロ戦のパイロットがアメリカ一番の最新鋭の戦闘機に乗せてもらう気分であれば、87歳までの間に、もう一本や二本、新作がつくれるのではないかと信じてもいます。そのためのフィールドとしては、とてもいいことではないかと思っていますので、これに乗るつもりで今日ここに立っています。
87歳という年齢については、ある前例を聞きました。現にその年齢でも映画を作って、撮って、大変素敵なコメディー映画を作っている監督がいるとすれば、やはりそれは僕にとっての目標値にもなります。そういう監督に負けないようにがんばりたいと思います。監督の名前を挙げておきます。アラン・レネです。(※フランス人監督。現在91歳。87歳時の2009年に『風にそよぐ草』、2012年に『あなたはまだ何も見ていない』を発表)
――富野監督の過去作品は色々ありますが、ただ過去のものを単純に映画にするわけないと思いますので、どういうビジョンで、どういう料理をしたいのか。過去に映画化したものとどう差別化するのか。今後の展望をお伺いしたいです。
富野監督:こういう答え方ができます。今までの自分の経歴の中では、TV版そのままを題材にした映画をつくるということをさせてもらいました。つまり映画を作る時での再構成です。ですから、僕にとっても、全くの新作で映画をつくったという思いはほとんどありません。『ガンダム』は新作ではありませんので、映画版としての新作であっても、新作とは言いがたいと思っています。ただ、どちらにしても他の映画監督、アニメ監督と違って、かなり色々な手法でやらせていただきました。
今晩、このようなシチュエーションをいただいた時に「おれだったらまた別の方法ができるのではないのか」という"自惚れ"がございます。この場合の"自惚れ"がどういうことかと言いますと、所謂"リメイクもの"という映画で成功したものがあまりない。だったら「成功させるためにはこうするんだよ」ということを年嵩の人間が、偉ぶってこういうサンプルを作ってみせる、ということはしてみたいと思っていました。
そして、ここ数年の間、死ぬまでにやりたいなと思いながらも、結局は権利問題がありました。同時に、日本で映画をつくる場合は資金というものをなかなか集めることができないということがあり、かなり自暴自棄になっていた時期もございます。この10年間のことです。
今回、このようなお話をいただきましたので、まず騙されたと思って乗ってみましたら、先ほども言ったとおりです。「Legacy Effects」のようなスタッフがいてくれて――ということは実を言うと、もし富野がやるんだったら全面的に協力をする、手伝う、というスタッフが本当にいたということです。このことは、やはりアニメ業界のみならず、アニメファンにとってもとてもうれしいことなんだ――だけど、それがなぜ今まで実現できなかったんだ、という部分を本当につきつけられました。
ですから、このような体制の中で、とりあえず作ってみせたいということがあり、今、1、2本企画としては考え始めています。ただ、先ほど木場社長がおっしゃっていたような権利問題から、今、個人の立場でお答えできないという部分があります。本当の言い方をすれば、例えば『ガンダム』であっても「おれだったらこういう作り方ができるぞ」と当然、少しは思います。じゃあ今の時期に『ガンダム』かとなれば、『ガンダム』は今、僕が知らない『ガンダム』がいっぱいありますので、そういうものに混ざりたくはありませんから、別のものでいきたいという部分もあります。では何なのかというところですが、勢いにまかせてしゃべると怒られますので、ここまでしかしゃべれないという僕の立場を本当にわかってください(笑)。どうしてこうなったのか、「Legacy Effects」の連中が、みんなこいつら(「オオカゼノオコルサマ」)の都合に合わせたからこうなっちゃったんだよ、という話です(笑)。本当は3月の末に発表する予定が、二カ月繰り上がればこうなるでしょう、ということ。以上です。
――これまではアニメーションを手がけてきた富野監督ですが、新作のジャンルは"アニメ"か"実写"か、何か考えておられますでしょうか。
富野監督:思った以上に両者の提携話の進捗状況が早いために、本当に困ったことが起こっています。ということで、ひょっとしたら第一作目が2Dの手前、つまり単純に手書きのアニメのような企画を立ち上げるところから始める方が無難じゃないか、とも思っています。ただこれは"無難論"だけではなくて、「Legacy Effects」との提携をどうしていくかということは、後2、3年の時間をかけてやっていった方がいいとも思っています。そのため、この2、3年の時間を稼ぐためにも、とりあえず東京制作のアニメがまずあってもいい。その段階で彼ら(「Legacy Effects」)との中でのコラボレーションができるものを考えていきたいし、新しいタイトル……新しいタイトルでなくてもいいです。映画化できるようなものについて、検討していく時間を、ここ1、2年いただきたいと思っています。
実写が入ってこようがアニメであろうが、僕にとってはどちらでもいいし、企画論としては僕にとって境界線はありませんので、21世紀の中盤を飾る新しい映像コンテンツを新たに生み出せたらいいなと。そして、そういうことを考える足場というものを今回東京に手に入れることができました。さらに、ハリウッドに間違いなく"助っ人"がいるということがわかりましたので、新しいものを作っていきたい。妥当なタイトルを挙げておきます。打倒『アバター』くらいはいきたい!
――これまでの作品は、バンダイやサンライズと組んだ作品が多かったと思います。今回のタイトルがどうなるかはわかりませんが、新たなプロジェクト体制でお作りになり、そのことについて監督は、自由さを感じているのか、それとも不自由なのか。そして、「Legacy Effects」を見学して話し合いを重ね、同社はどのような役割を担えるとお考えですか。
富野監督:半分フリーランサーのアニメ監督という立場で言えば、自由でも不自由でもないという言い方ができますが、今年から来年、再来年という状況の中でのアニメ制作現場というのは、決して楽なものではありません。ですから、新しい制作基盤になるかもしれないフィールドを手に入れられるかもしれない、という意味ではむしろ自由と考えます。と同時に、おそらくはアニメを作る現場が、疲れ切り始めているのではないか、ということも感じるようになってきました。そういうスタッフに対してのカンフル剤になれるプロジェクトを立ち上げていくためには「Legacy Effects」のような要素が入ることが、とてもわかりやすいものではないかと思っています。
では、「Legacy Effects」に何を期待するのかというと、もうスクリーンでご覧のとおりです。技術論に関して不足感というのは一切ありません。キャラクターや何かのメイキングについても、クリエイティビティが高いということについても、当然承知しております。新しい企画も「Legacy Effects」と協調して、検討して立ち上げていくこともあるでしょう。何よりも1本、2本の映画の企画だけで終わらないために、これから1年半くらいの間で「オオカゼ」がどれだけタイトルを並べられるか、というのが勝負になってきます。なので、期待するところはありません。つまり、現在の「Legacy Effects」の力量で十分ということです。
そして、「Legacy Effects」に重要なことがひとつあります。彼らが今日現在の仕事すべてに満足していない、ということです。それがわかりました。それが"ジャパニメーション"の視点なのか、富野の視点なのかわかりませんが、新しく注入することができる、というようなことまでわかってきました。このことについての具体的なコメントについては差し控えさせていただきます。
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