佐藤順一氏が語る富野由悠季監督
佐藤順一 - Wikipedia
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10月26日に劇場公開がスタートした話題作『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』を表紙&巻頭特集で掲載! 新房昭之総監督、宮本幸裕監督のロングインタビューに、ライターのコラムを交えながら[新編]の見どころを紹介!
つづいて、秋の新作アニメからは大きく3本をピックアップ!
『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ -』を特集! 【ほぼ連載】でつづいている岸誠二監督と上江洲誠氏(脚本家)による対談は、横須賀にある記念艦・三笠で収録を行いました。3DCGアニメーション制作スタジオ「サンジゲン」スタッフインタビューで、フル3DCGでの映像制作のポイントも見えてくる!
続いて『サムライフラメンコ』からは大森貴弘監督と脚本家・倉田英之氏の豪華対談が実現! 『サムライフラメンコ』制作時に名前のあがった「ヒーローもの」作品の数々をチェックすると、『サムライフラメンコ』がもっと楽しめる!?
そして、京都アニメーション制作の注目作『境界の彼方』。石立太一監督にアクションの多い本作の演出について、見どころを伺っています。
放送終了したアニメからは、前号で表紙&巻頭特集を行った『とある科学の超電磁砲S』の後半戦を大特集! 長井龍雪監督のインタビューには、いろいろな制作裏話が満載ですの!
笑いと感動を呼んだオリジナルアニメ『ファンタジスタドール』では、岡村和佳菜(東宝・プロデューサー)インタビューも掲載し、コミック、小説、ゲームと展開する「ファンタジスタドール」の世界について紹介しています。
そのほか、【OTONA ANIME PICK UP】のコーナーでは、『サカサマのパテマ』吉浦康裕(監督)が登場!
また、新連載【森井ケンシロウのアニメ制作見聞録「猫とFlashとアニメ」】、【『ガールズ&パンツァー』独立後方支援隊 出撃録! 】がスタート!
最後に、アニメ演出の仕事をはじめて30年を数える佐藤順一監督にこれまでのキャリアを語っていただく超ロングインタビューを敢行! アニメの歴史とリンクする佐藤順一監督のお話に、最新作『たまゆら~もあぐれっしぶ~』のイベントレポートなどと合わせて合計30ページ掲載しています。こちらは次号Vol.33で後編の掲載を予定!
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佐藤順一監督がたどったアニメの歴史!前編
富野監督と「アニメ屋」伝説
-このころ、東映で尖ったコンテを書いて気炎を上げていた佐藤さんが、『機動戦士Zガンダム』の絵コンテを手がけられたときに、富野由悠季監督に「アニメ屋」と言われて、それから佐藤さんが「アニメ屋」という呼び名を使うようになったというエピソードをお聞きしましたが。
佐藤 あれは実は間違っていまして、アニメ屋と言われたのは僕ではないんです。
今川泰宏さんの芸人魂満載なノリノリな絵コンテだったんですけど、富野さんがやろうとしていた『Z』はもっとドラマなんだということだと思うんですけど、とにかくコンテの修正に罵詈雑言が書いてあるわけです。「なにを見ているんだ、こんなコンテやめて田舎に帰りやがれ、このアニメ屋が」とか書いてあるわけですよ。どんどん太い文字になって、絵コンテの裏まで書いてある(笑)。
つまり、「こんなチェックが入るんですよ」という参考なんですね。明るく楽しい少年ものとしてのロボットもののコンテが上がっていたけど、富野さんは「違う、もっと映画なんだよバカ」ってことを書いてある。だから、僕はすごく映画っぽい感じに絵コンテを仕上げたので、富野さんから罵詈雑言をもらうことはありませんでした。
今川さんに向けられた「アニメ屋」という言葉をカッコいいからちょっと使おう、と。むしろ僕は言われたいなあ、と思って。ごめんなさい、今川さん。
―戦闘シーンで細かいカットを積み重ねたら「典型的な悪いカットです」と書かれたともお聞きしました。
佐藤 そうですね。富野さんは当時、若手を育てたいという意思があったと思うんです。
富野さんは直すとき、ぜんぶなぜこれがタメなのかという説明が書いてる。ダメ出しだけでなく、いいところはちゃんと「ここはいいです」と書いてあるんですよ。ものすごいエネルギーだと思いますね。僕はロボットものなので、とにかくロボットがバトルしている絵をやったら、「メカだけ見せても人の気持ちは動かないんだよ、ちゃんとキャラクターを見せなきゃ」と、カットインでキャラクターを描いて表情を入れるように直されました。「ロボットに乗っている人を映す、ということをやらないとドラマにならないんだよ」ということが書いてあって、「なるほど」と思いましたね。
―富野さんという方は、佐藤さんにとってどんな印象ですか?
佐藤 『ガンダム』を全然観ていなかったし、富野さんの作品に熱中したこともなかったんですよ。でも、人から聞くと相当濃ゆい人なので、興味がありましたね。今でも富野さんから教えてもらって生かしているものはあります。たとえば、アニメーションのコンテって、セリフを書くときはまずキャラクターの名前を書いてカギカッコでセリフを括るんです。でも、富野さんのコンテはアムロだったら「ア」と書いて、カギカッコはつけないんです。「アムロ」と書く時間と、カギカッコを書く時間、コンマ何秒がもったいないだろう、と。コンテはそのぶんだけ1分1秒でも早く上げろと教えられて、そのとおりだな、と。さすがにキャラクターの名前は間違いが起こりやすいのでいちおうは書きますけど、僕は今ではカギカッコは書かないです。これはいろんなことに通じるんですよね。基本的なことが勉強になりました。
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前半は似た話です。カギカッコの話は富野監督らしく面白いです。
当時の「Z」のプロデューサーが、佐藤順一氏がやっていた「とんがり帽子のメモル」を見て、富野監督に紹介し、「Z」に参加するようになったようです。
大河内一楼氏も「メモル」で佐藤順一氏に興味をもっています。
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私は「メモル」は見ていないので分かりませんが、演出佐藤順一回はすごかったようですね。
次号のオトナアニメvol.33では後編です。