オトナアニメvol.29『伝説巨神イデオン』について
オトナアニメvol.29 - 株式会社洋泉社
異星人同士のコミュニケーションを描いた前衛的なロボットアニメ 伝説巨神イデオン
インタビュー
キャラクターデザイン/アニメーションディレクター 湖川友謙
湖川友謙 - Wikipedia 、作画@wiki - 湖川友謙
『伝説巨神イデオン』のほか『戦闘メカザブングル』や『聖戦士ダンバイン』といったサンライズのロボットアニメのキャラクターデザインを手がけた湖川友謙氏。当時、前衛的だった『イデオン』のキャラクターデザインはどのようにして生み出されたのだろうか?
(前略)
-サンライズでは『無敵鋼人ダイダーン3』に続いての参加ですね。
湖川 『ダイダーン』もお富さんからの電話で、「キャラのことで話したい」と言われましたが、私事で時間がとれず、後日サンライズを訪ねると、キャラは仕あがっており、プロヂューサーから「敵キャラが無の状態なのでやってくらいかい?」とお願いされ参加することに。『イデオン』も依頼後、お富さんから世界観を示した数枚のメモとキャラの系統図をもらいました。
-そのとき『イデオン』の世界観の説明はあったのですか?
湖川 いいえ、読めばわかると理解しました(笑)。しかし、大変興味深い世界と感じました。私は世界観を創りあげるのが好きなので、キャライメージを語らぬお富さんに感謝しています。たとえば、外国のデザイン画を横に置かないと描けない人もいます。私も試してみたが線一本引けなかった。白紙に向かい、自分のイメージを曝け出すのが私流なのでね。軍服デザインにしても、ドイツは優れていると思うが、バッフ・クランはドイツですか(笑)?フィクション世界はなんでもありです(笑)。やるからには新しさの珍をやらないとね。
-そのデザインに対して、富野監督から直しはでましたか?
湖川 なにもないです、「いいね」とも言われない(笑)。唯一ハルルのデザインは直し依頼が。サンライズフェスティバルのとき、お富さん自ら語っていますが、頬張り女性が嫌いとか(笑)。なにせアジバ一族ですからね、それにしても強烈に感じたのでしょう。だとしてもなんでたと思いながら、5人の顔をあえて、らしからぬデザインを渡したところ、「最初のでいい」と(笑)。お富さんは若いころから絵が好きで、ドガの犬のスケッチを見て挫折したと聞いてます。私はピカソの足のデッサンを見て「俺は抜く」と思った。二人の決断の気分が見える(笑)。
-主人公がアフロだったり、バッフ・クランがオカッパだったりと、当時はかなり斬新なキャラクラーデザインでした。
湖川 コスモは目立ってもいけましたね?私は主人公のデザインが苦手なんです。個性的すぎると共感を得られない。個性がないと目立つことがなくダメ。悪役とかちょっとヒニルなキャラを創るほうが燃えてくる(笑)。『イデオン』も最初に創ったのはドバですが、オカッパのイメージはどこの経験から湧いたのか、おかげでバッフ・クランのひとつの統一型完成です。
-『イデオン』のあとは『戦闘メカザブングル』『聖戦士ダンバイン』と続きますが、世界観によってキャラに画が変わります。
湖川 私はシャレたギャグを20代中ごろから好きになったので、『イデオン』の次はギャグをやりたくてシリーズ半ばでジロンのキャラを創りあげてました(笑)。その後、お富さんに世界観を聞き、西部劇スタイルをデザインしました。私のデザインは世界観にあわせたもので、そのつど絵柄を変えます。8頭身から2頭身キャラまで、その前後まで含め描きます。基本的にマンガもアニメひとりひとりデザインですが、描き分けができる作家は私の知るかぎり吉田竜夫さんひとりでしょうか。私の場合、ベースになる絵柄が存在します。そのデザインのベース画のバランスを変えることにより、自在なデザインが生まれる。
-毎回違うことに挑戦することのは、大変ではないでしょうか?
湖川 それがないとやる気が起こらない私(笑)。楽にやること内で楽しさも、感動も生まれてこない、難があるから燃えられる。どうにかしてやろうと思えないと発想も粗雑になってしまう。たとえば、自分のやったことに満足できないから、勉強して学ぶのです。見あげた顔を描くのも、パースの理論を構築するのも同じです。私がパースをアニメ界に取り入れるまで存在しなのも事実。ちなみに“eyelevel”は私の造語で、目で見つけたので、“eye”を入れたかったのです。
-『イデオン』を最近観返されたことはありますか?
湖川 なにかの折りに観ましたが、観るに耐えられない(笑)。なにせ30年も過去の作品だし、そんなものに感動していては今の存在など不必要ということになってしまう、もちろん作品としては当然、愛重してるし、青春の思い出のトップです。もし、リメイクするとしたら究極のビジュアルを創り出すか否か、デザインから考え直したいと思います。だから過去をのぞく必要性を感じない。話は違うが、年をとっても下手になることを見聞きするが理解の場がない。ただ、絵を描けばうまくなる勘違いも不要だが、まず、疑問を起こすこと、疑問に出会えないのは意識不足なのだろうね。画の世界、とくにアニメは勉強なくして向上すろことは絶対にありえないのです。
・“eyelevel(アイレベル)”
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう 湖川友謙(3)
小黒 アイレベルとは、人の目線の位置、アニメで言うと、カメラの位置の事ですね。
・頬張り女性が嫌いとか(笑)。サンライズフェスティバル2010夏 イデオンナイト! - シャア専用ブログ@アクシズ
最後の回答は湖川氏の若さを感じます。イデオンのキャラクターデザインは約30年経った今でも強烈だと思います。
イデオンのページだけでも誤りがあり、内容の質があまりいいとは言えませんでした。
イデオンの他には、ガンダムシリーズはさることながら、聖戦士ダンバイン、リーンの翼、ブレンパワード、OVERMANキングゲイナーやサンライズ企画室の井上幸一氏のインタビューが載っています。
※一部要約しており、全文ではありません。元記事をお読みになりたい方は、「オトナアニメ Vol.29」をお求めください。
■シャア専用ニュースさんの方には、たいらいさお氏のインタビューが載っています。
シャア専用ニュース-伝説巨神イデオン たいらいさお「復活のイデオン」を語る
■2013年2月1日に行われたイベントでのトークショーの内容
スペースランナウェイ 復活のイデオン祭り楽しかった!! | ひびのたわごと
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